■目見当名人■


「目見当名人」の人がいます。
その道36年のベテラン大工、熊さんと
その道38年のベテラン漁師、三郎さんです。
2人に共通するのは、物の長さを見ただけで正確に言い当てられることです。
ただし条件があります。
大工の熊さんが正確に当てられるのは、角材の長さだけです。
漁師の三郎さんが正確に当てられるのは、カツオの長さだけです。
漁師の三郎さんの前に76.1cmのカツオを出すと「76.1cmだ」と即答で返ってきますが、
その横に76.1cmの角材を出すと、「75cmくらいかな」としか答えてくれません。
大工の熊さんの場合はこの逆です。
つまり、大工の熊さんは「角材の長さ当て名人」で、
漁師の熊さんは「カツオの長さ当て名人」です。
では、76.1cmの、カツオの形に彫られた角材ならどうでしょう。
熊さん「75cmくらいかな」
三郎さん「75cmくらいかな」
木村さん「76.1だ」
つまり、無職の木村さんは「カツオの形に彫られた角材の長さ当て名人」です。